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| 34 | 夢回帰線時代17 | 新年 |
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「あらあ、よく来たねえ。さあさあ、あがって、あがって。」
母である。95年1月2日、家族揃って僕の実家へ年始に出かけた。実家では仔犬を飼い始めていた。名をモモといい、よく吠えた。子ども達は、モモをかまいながら、楽しそうだ。母の手料理に舌鼓を打ちながら、テレビに目をやると、不思議現象の特番をやっていた。
そこでは、サイババという聖者が、ビブーティーという灰を手の平から現し、信者に分け与えていた。今後21世紀に向けて、ますます神秘的なもの、心の内側へと時代がシフトしていくように感じた。また、番組の後半では『アガスティアの葉』が紹介された。
『アガスティアの葉』とは、インドのアガスティアの館で管理される個人の運命を古代文字で刻んだパピルスの束である。この葉には、誕生前から定められていた個人の情報-仕事、結婚、家族、健康、死亡時期などが記されているという。
インドである。すぐにホイそれ、と行くわけにはいかないが、占い好きな僕としては、とても魅力だった。知りたいことは、たくさんあった。いつか、『アガスティアの葉を求めてツアー』などが企画されるのではないか。そうしたら、ぜひ行ってみたいと思った。
さて、その月の17日早朝、日本中を震撼させた阪神淡路大震災が発生する。死者3,000人を超える大災害を、僕は夢で先日見ていたことに気づいた。海の見える漁村。しかし、周囲は廃墟となっている。泥だらけで泣いている少女が物悲しい。そんな夢だった。(合掌)
不思議な事は続いた。僕が記事を提供する月刊みにむ編集室へ行くと、いきなりスタッフの襟川君から、サイババのビブーティーを頂いた。インドへ行ってきた秋草さんからのお裾分けだと言って、彼は笑った。
その晩、僕はサイババの夢を見る。
僕は田舎の細い小道を、仔犬を追いかけ息を切らしながら走ってる。途中で、人を追い越す。その人は白い服で、白い被り物をしていた。振り返ると、その人は僕に微笑んでいた。その顔は、テレビで見たサイババ、その人だった。何かを許されたような、そんな安堵を感じた。
その頃、会社はオフィスに黒雲がたちこめたような、そんなムードになっていた。営業不振は続き、経営会議は紛糾。経営陣は、リストラどころか、解散まで臭わしていた。僕は営業と企画の要として、経営者の心情を察することができる立場にいたため、状況を見守りながら、社長についていくつもりだった。
27日、夢回帰線86/91の新春公演『最後の洗礼』が幕を開けた。このとき、劇団のモチベーションは最低だった。すでに団員は女性のみとなり、しかも半数は学生だった。僕の仕事の都合で、団員とコミュニケーションする時間や余裕もない中、遅かった稽古の終了時間は、ますます遅くなっていた。先輩団員は、学生達の帰宅時間に配慮し、稽古を早めに切り上げようとする。僕は仕上がりに満足できず、丁寧に駄目を出そうとした。しかし、彼女達は無言を貫いて抵抗した。前夜のミーティングを険悪なムードで終えたまま、初日がスタートした。
波乱の幕開けだった。オープニングで緞帳が外れた。僕は出番を間違えた。これまで、こんなことは一度もなかった。
2日目の公演後、観に来てくれたかつての仲間と食事した。思い通りの劇作ができない集団なら、いっそ解散した方がいいのでは、との意見を受けた。
その晩、女房と話した。
「このままでは、劇団のみんなも僕自身も駄目になってしまう。明日、公演終了後の挨拶で、解散を宣言しようかと思う。」
「そういう時期かもね。」
母である。95年1月2日、家族揃って僕の実家へ年始に出かけた。実家では仔犬を飼い始めていた。名をモモといい、よく吠えた。子ども達は、モモをかまいながら、楽しそうだ。母の手料理に舌鼓を打ちながら、テレビに目をやると、不思議現象の特番をやっていた。
そこでは、サイババという聖者が、ビブーティーという灰を手の平から現し、信者に分け与えていた。今後21世紀に向けて、ますます神秘的なもの、心の内側へと時代がシフトしていくように感じた。また、番組の後半では『アガスティアの葉』が紹介された。
『アガスティアの葉』とは、インドのアガスティアの館で管理される個人の運命を古代文字で刻んだパピルスの束である。この葉には、誕生前から定められていた個人の情報-仕事、結婚、家族、健康、死亡時期などが記されているという。
インドである。すぐにホイそれ、と行くわけにはいかないが、占い好きな僕としては、とても魅力だった。知りたいことは、たくさんあった。いつか、『アガスティアの葉を求めてツアー』などが企画されるのではないか。そうしたら、ぜひ行ってみたいと思った。
さて、その月の17日早朝、日本中を震撼させた阪神淡路大震災が発生する。死者3,000人を超える大災害を、僕は夢で先日見ていたことに気づいた。海の見える漁村。しかし、周囲は廃墟となっている。泥だらけで泣いている少女が物悲しい。そんな夢だった。(合掌)
不思議な事は続いた。僕が記事を提供する月刊みにむ編集室へ行くと、いきなりスタッフの襟川君から、サイババのビブーティーを頂いた。インドへ行ってきた秋草さんからのお裾分けだと言って、彼は笑った。
その晩、僕はサイババの夢を見る。
僕は田舎の細い小道を、仔犬を追いかけ息を切らしながら走ってる。途中で、人を追い越す。その人は白い服で、白い被り物をしていた。振り返ると、その人は僕に微笑んでいた。その顔は、テレビで見たサイババ、その人だった。何かを許されたような、そんな安堵を感じた。
その頃、会社はオフィスに黒雲がたちこめたような、そんなムードになっていた。営業不振は続き、経営会議は紛糾。経営陣は、リストラどころか、解散まで臭わしていた。僕は営業と企画の要として、経営者の心情を察することができる立場にいたため、状況を見守りながら、社長についていくつもりだった。
27日、夢回帰線86/91の新春公演『最後の洗礼』が幕を開けた。このとき、劇団のモチベーションは最低だった。すでに団員は女性のみとなり、しかも半数は学生だった。僕の仕事の都合で、団員とコミュニケーションする時間や余裕もない中、遅かった稽古の終了時間は、ますます遅くなっていた。先輩団員は、学生達の帰宅時間に配慮し、稽古を早めに切り上げようとする。僕は仕上がりに満足できず、丁寧に駄目を出そうとした。しかし、彼女達は無言を貫いて抵抗した。前夜のミーティングを険悪なムードで終えたまま、初日がスタートした。
波乱の幕開けだった。オープニングで緞帳が外れた。僕は出番を間違えた。これまで、こんなことは一度もなかった。
2日目の公演後、観に来てくれたかつての仲間と食事した。思い通りの劇作ができない集団なら、いっそ解散した方がいいのでは、との意見を受けた。
その晩、女房と話した。
「このままでは、劇団のみんなも僕自身も駄目になってしまう。明日、公演終了後の挨拶で、解散を宣言しようかと思う。」
「そういう時期かもね。」
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